クラブ野球選手権について③-大和高田出場辞退と雑感。【2021社会人野球】
1)大会参加者に対する PCR 検査の結果、大和高田クラブの関係者にコロナ感染陽性者が見つかり、保健所の指導のもと出場辞退したことが報じられました。若い人の犠牲者も出るなど、発症に至った場合は大事に至る可能性があります。残念な結果となってしまいましたが、陽性となった方の回復と、大和高田クラブの再起を願うものです。
2)まもなく試合開始というところでのこの記事制作ですが、今の状況下で野球をする厳しさを感じています。弘前アレッズやMJG島根など、県外の試合を辞退する報道を見てきましたが、私にとって一番近いチームも野球をする環境が整わず、月の大会参加を見送りました。
拙稿では「いろんなことを考えなければならない」という言葉に凝縮していますが、大会に参加した場合のリスクというのが、感染もですし、そのことによる周囲の目というのもあり、なかなかどれをとっても正解にならないという状況があります。
それでも、それを超えて参加するという決断を下したチームにはグランド上で頑張ってほしいし、それとは違う選択をしたチームは意識を失わないで再起をしてほしいというふうに願っています。
今日からのクラブ野球選手権、戦われる15チームの皆さん、頑張って下さい。
クラブ野球選手権について記述② オール江刺について/29日の日程。【2021社会人野球】
※昨日は初日の日程をまちがえてしまいました(訂正済み)。大会は29日から始まります。また、今記事は27日の記述で、28日午後発表の大和高田クラブ辞退は反映していません。
岩手県内陸部は夕方から雨が降り続けています。岐阜県はどうかなと天気予報サイト覗いてみたら、明日28日は曇り空、明後日29日は晴れ間が見えるという予報になっていました。ただ、29日は第1試合の試合開始が7時30分予定ということもあり、野球をするには寒いかなという天気で始まり、その後の気温上昇が見込まれるので、体調調整お気をつけいただければと思います。
では昨日書ききれなかった項目をいくつか。
2.岩手王者として臨む―オール江刺
岩手県からはもう1チーム、オール江刺が出場します。昨日は久慈クラブのことを書いたらタイムアップになってしまいました。同じ岩手なのに文量短くて申し訳ありません。
クラブ野球選手権は行われて45回。2017年の第42回大会までは毎年岩手から代表チームを輩出してきましたが、2018年にとうとう途切れてしまいました。2019年は江刺が三回戦、駒形が準決勝敗退と岩手県一次予選が大荒れになり、東北初進出のMKSI、盛友クラブにいきなり東北の強豪と互角に戦えといっても厳しい話でした。2020年は前年秋に行われた県クラブ選手権で駒形、江刺、そして釜石野球団が東北予選進出権を獲得しましたが、大会が中止になってしまいました。
こうして3年間、クラブ選手権本大会に出場できなかった岩手のチーム。オール江刺は昨年、一昨年とクラブチームの中で公式戦最多勝あげる奮闘を見せ、特に昨年秋、岩手県内で水沢駒形以外は勝てていなかった(陣容がそろった13年以降)トヨタ自動車東日本に勝ち、県クラブ選手権ではそのライバル駒形にも勝ちました。
今年に入ってからは独立リーグBCLの経験もある新沼大輝君が主戦投手の一人として奮闘し、代表決定戦でライバル駒形を破って全国大会に進出。同じくBCL経験者の高橋祥君は数年前に籍を置いたゴールドジムとの対戦となります。
総じてオール江刺の向上心というのは身近で見てきているので、それが発揮される試合をができれば、と願っています。
3.未記載の「北海道」「四国中国」予選について
拙稿でここまで書ききれていなかった二次予選・「北海道」「中国四国」予選について記します。
▽北海道は14チームが参加。数年前の本大会に出場した札幌ホーネッツが初戦敗退。WEEDしらおい、ウイン北広島、トランシスに函館オーシャンがベスト4に残りましたが、ウイン北広島が二回戦からの3試合いずれも接戦を制して本大会に進出。
▽四国中国地区。四国の一次予選は4月18日に松山フェニックスと徳島野球倶で争われ(TOKUSHIMA ASTROSどうしましたべ…)、松山が14―6で勝って二次予選進出。二次予選は中国地区一次予選の結果から福山ローズファイターズ、航空自衛隊防府クラブ、MSH専門学校が二次予選に。4チームで行われた二次予選はいずれも接戦となり、MSH医療専門学校が両試合とも終盤に底力を見せ、松山フェニックスと空自防府を破り本大会進出を果たした。
4.5月29日の試合予定
春先から(一部地域は前年秋から)の予選を経てクラブ選手権本大会に進出する16チームが決まりました。初日の組み合わせ紹介をもって、チームを紹介していきます。
【長良川球場】開始7時30分予定
1)オールいわき―マツゲン箕島
2)全足利クラブ―久慈クラブ
3)浜松ケイスポ―シンバネット
4)ハナマウイ ―MSH医療専門
第1試合は優勝候補と目される箕島と、経験を積み重ね確固たる実力を身につけたいわきの対戦。第2試合は「17年ぶり」優勝狙う全足利に同じく出場の久慈が思い切りぶつかる。第3試合、21世紀の東海地区クラブ球界を引っ張ってきた浜松が新鋭シンバネットの挑戦を受ける。第4試合は創部2年で都市対抗出場の新興ハナマウイにMSHが得意な終盤戦に持ち込みたい。
【大垣北球場】開始7時30分予定
1)千曲川野球ク―東北マークス
2)ゴールドジム―オール江刺
3)TOKYO METS―大和高田ク
4)ウイン北広島―兵庫県警桃太郎
第1試合は安定的な地力を持つ千曲川に東北クラブの「梁山泊」マークスがどう戦うか。第2試合は先端トレーニングを積み重ねを経たゴールドジムか、地域の誇りを積み重ねたオール江刺か。第3試合はクラブ野球界覇者の大和高田に「野球を応援したい」の熱意から歴史を積んだMETSがぶつかる。第4試合はウィン北広島が4年前のベスト4を超えるか。県警桃太郎はまず一勝目指す。
以上、試合の注目点を記してきました。参加される皆様の健闘を心から願うものです。駆け足の記述でしたがお付き合い頂きましてありがとうございました。
クラブ野球選手権について① 同県他チームメンバーから見た久慈クラブの歩み。【2021社会人野球】
(写真選択が間に合わずテキストのみの発信となります。ご了承ください)
クラブ野球選手権は28日金曜日29日土曜日から開幕します。昨年はcovid19の影響により大会が中止。今年も2020年同様、東京オリンピック開催の影響を受け開催日程が変わり、さらに会場も西武ドームから岐阜県での開催に変更となりました。皆様ご承知の通り、コロナの影響はまだまだ存在し、大会を辞退するチーム、大会予選に参加してもベストの状態から遠いチームも存在し、それでもクラブチームの目指す一番の大会だからと必死に参加にこぎつけて予選を通過した16チームが全国大会に挑むこととなります。
ここで例年ですと参加チームの紹介というふうになりますが、今大会については既に別な方が大会の見どころを記載してます。私が今から書こうと思っても二番煎じ以下にしかならないので、先行して記したぶるっくさんの記事をリンクすることでチーム紹介に代えさせていただきます。
ぶるっくさんのブログ「社会人野球観戦記」による出場チーム紹介
※北広島、マークス、いわき、江刺、久慈、千曲川
※ハナマウイ、ゴールドジム、METS、全足利、浜松ケイ
※大和高田、マツゲン箕島、兵庫県警桃太郎、MSH専門、シンバネット
私からはいくつか項目を設けて記述します。
1.16年ぶりの大舞台、久慈クラブ。
(1)「全久慈」と「久慈クラブ」―紡いできた久慈野球の流れ。
創設は1991年。大会パンフレットを見ると1976年に行われた第1回大会に「全久慈」という名称があるので?と思われる方も多いと思われますが、全久慈は1972年、それまで準硬式野球などのカテゴリで戦っていた久慈ヤンガースが改変して硬式社会人野球に参戦したチーム。全久慈はその後、宮城建設の冠がついて宮城建設久慈クラブに変わり、1991年に宮城建設という企業チームになりました(2003年まで活動)。久慈クラブはその後市民クラブを作ろうという久慈野球人の熱意に押されてできたチーム。両方のチームに関わる人もいましたが、扱いは別チームです。
(2)久慈クラブ創立から全国4強進出期
市民クラブをという熱意から始まった久慈クラブは、創設当初から勢いを見せ、1993年の都市対抗野球では県予選ではベスト4進出。金属バット時代ということを抜きにしても、企業チームにも相対できる攻撃力を持ち、1996年県知事旗大会では岩手県社会人野球最多の1試合37得点+1イニング28点を記録。そこに福島大学でも二刀流で活躍した大沢義時投手や、北海道の企業チームで活動した松村朋宏投手が加わり、全国大会に進出するようになります(97~02、04)。2001年クラブ野球選手権では全国ベスト4まで進出。2005年の日本選手権岩手予選では第2代表決定戦を勝ち抜いて東北予選に進出します。
しかしチーム結成から10有余年。支援体制や選手の移り変わりなども重なり苦戦をするように。そして2011年の東日本大震災では久慈市も大きな被害は免れず、海沿いにあった産業地域、あるいは市の中心街に大きなダメージを食い、久慈クラブも利用していた市営球場も壊滅状態に。特に産業地帯が壊滅した影響は大きく、選手の動向に大きな影響を与えたものと思われます。
3.大震災から「16年ぶり」へ。
2012年に活動を再開しますが、当初は参加する大会を限定しての参加。選手の人数がギリギリだった様子も幾度か目にしています。
それでも熱意が失った様子はなく、期をつかんでは存在感を見せるときも。2014年には東日本クラブカップ東北予選で第3代表決定戦まで進出。近年はまとまって新入部員を確保する年もあり、「この選手達が揃って参加できる状態がつくれれば、大きい存在感を示せる可能性がある」と見ていました。
そして昨年、岩手県クラブ選手権大会で準決勝進出。3位決定戦では2010年代大きく伸長した盛友クラブに勝ち東北予選進出権を勝ち取ります。
そして4月に行われた予選では
郡山イーストに勝ち
オール江刺にも勝ち
オールいわきには
経験の差を見せつけられますが
最後の1枠を
新庄球友に勝ってつかみ
全国大会進出を決めたわけです。
一度大きな栄光を味わって、その後に「及ばない」状態になって、それでも挑戦することをやめなかった先達の人がいたからこそ、野球をする場所が存続できた。SNSのタイムラインを見ると、「久慈クラブは初出場?」という記述もありましたが、実はここに至るまでの長い、長い積み重ねの上に成し遂げた本大会出場です。
4.同じ沿岸勢として、久慈クラブに託します。
久慈クは同じ三陸・沿岸勢ですね。20数年の社会人野球生活で幾度も戦いあったライバルチームでもあります。初戦の相手が全足利という、全国でも屈指の強豪が相手ですが、グランドに立つからには持てる力を発揮して頑張って欲しい。できることなら現地で見届けたかったのですが、今の状況じゃそれは無理な話なので、遠い岩手の地から見届けることにします。
あまりにも多く、長く書きすぎてしまいました。残るオール江刺、あるいは書ききれていなかった部分については記事を分けて、金曜日の朝までにアッアプするように努めます。おつきあいいただきありがとうございました。
今週末はクラブ野球選手権、来週末は岩手クラブ選手権。短報【2021社会人野球】
1)クラブ野球選手権については木曜夜までに記事を書きます。既に先行して書かれている方がいますので、私は別なポイントから記述します。
2)岩手県クラブ選手権の日程もアップされました。参加20チームでの開催で、参加の有無を問わず野球をすること自体の厳しさを「これでもか」と味わされています。ちなみに赤崎野球クは参加しません。
以上2点申し述べておきます。
一戸桜陵ク、創部63年ついに大会初優勝!北上市長杯16日結果【2021社会人野球】
こんにちは。昨日とは打って変わって、今にも雨が降り出しそうな天気となった岩手内陸部。北上市長杯大会は大会2日目、準決勝と決勝戦が行われました。準決勝は日本野球連盟HP(www.jaba.or.jp)より、決勝戦は直に見てきましたので、それを踏まえてお伝えします。
▽準決勝 盛岡球友倶 16―3 花巻硬友倶
初回盛岡球友が5点を先制すると、すかさず花巻も3点を返し、乱打戦の様相を見せたが、盛球が三回に1点をあげると、五回に6点、七回に4点のビッグイニングをつくり、コールドで決勝進出。花巻は二回以降追撃できなかったのが惜しまれた。
▽準決勝 一戸桜陵ク 8―4 遠野クラブ
序盤は2―2と互角の展開だったが、四回裏一戸が3点をあげると、六回にも2点をあげるなど遠野を突き放しにかかる。遠野は再登録したパワーピッチャーを投入し反撃したかったが、九回の2点のみで届かなかった。
▽決勝戦 一戸桜陵ク 9―1 盛岡球友倶
盛岡球友は初回四球で出たランナーを2盗塁→タイムリーで返し先制。しかし一戸は二回に連打で追いつくと、三回に暴投で勝ち越し。四回に盛球のリリーフから3四死球2安打で勝ち越し。六回は5安打を集中しコールドに持っていった。盛球は一戸先発投手は攻略したが、リリーフ投手から追加点を奪えず、六回は満塁のチャンスも作ったが、そこで差を縮められなかったのが響いた。
一戸桜陵クが1958年のチーム創立以来、活動63年目にして初めて大会優勝を成し遂げました。一戸がチームを作った1958年周辺は、岩手県内でクラブチームの創設ラッシュの最中で、1960年代当初は都市対抗野球予選の参加チームが20を超えるほどの盛況を見せましたが、当時の社会人野球はメイン大会は都市対抗と産業別大会(1951~73年)で、クラブチームに特化した大会はなく、全国的にはクラブチームが縮小。岩手でも参加が激減する状況の中、一戸は社会人野球の試合に参加し続けてきました。(下図表はクリックすると少し大きくなります)
一戸地域も野球が盛んなところで、1951年には一戸野球協会が軟式全国大会に進出。一戸高校も岩手の高校野球で存在感を見せていた、その流れの中でできた一戸桜陵が長年活動し続けて、一つの大きい成果を出した。その事に心からお祝いを申し上げるものです。
準優勝の盛岡球友。今大会は20、30代の投手陣で大会をまかないました。近年5年内で個人表彰2度のアンダースロー投手(50代)もいますが、大会で上位を勝ち取ろうとすれば投手陣の底上げは欠かせません。そういう意味では決勝戦で登板した若手2投手が責任重くなった登板で何をつかんだか。成長に期待します。
大会初日の2試合はともに延長タイブレークにもつれ込む熱戦に。先に書きましたが今日は直接野球場に行って試合を観戦してきました。やっぱり野球は直接見てなんぼなんだなあというのを改めて。3週間後には岩手県クラブ選手権も行われますので、その時にはもう少し多く試合を見られるように調子を整えますので、球場で見かけたら声かけてください。
最後に。今年に入ってからの野球の記事記述ですが、個人名の表記を避けています。コロナ禍の環境の下、野球の大会に臨まれている選手への“配慮”いうことでの対応です。了解いただければ、と思います。