MBC野球発信局-袖番号96 伊東勉のページ。

17年9月から移籍。こちらでは社会人野球など野球中心の記述をします。

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CK126 東北リーグ天王山「グルージャ盛岡-NECトーキンFC」。攻めきったチームがもぎ取った勝利。

 この項では10月4日に行われた東北社会人サッカーリーグ最終節・グルージャ盛岡(以下グルージャ)-NECトーキンサッカークラブ(以下NEC)をはじめとした優勝争いに関して触れさせていただきます。

1.猛追グルージャ…最終戦で全てが決まる。

 34という齢になるまで、サッカーの観戦と言えば、1997年にたまたま旅路の途中で立ち寄った日本選手権・サンフレッチェ広島清水エスパルスとの試合だけでした。
 その試合は接戦だったものの、最後エスパルスのカウンター攻撃が決まって次戦に進出。当時経営難に陥っていたエスパルスの意地を見せてもらった試合でした。

 去年、わずか15分ばかり大船渡三陸とセレソ北上の試合を見させていただきましたが、やはり最初から最後まで見ないとな、と思い、どこかタイミングの合う試合見に行きたい、とは思いましたが、やはり仕事と共産党活動以外では社会人野球を主軸に行動していましたので今年見に行くなら10月、11月の試合しかないわけでして。
 で、日程見てみたら10月の試合は…岩手県リーグではいくつかありましたが東北リーグでは最終戦しか残っていません。当初は見に行く予定ではなかったのですが東北リーグの状況が観戦意欲をかき立てられました。

 グルージャ盛岡猛追」「14-0で秋田に快勝!勝点福島に並ぶ」「最終戦得失点差での勝負」

 どうせ大船渡行くついでだったので、ちょこっと寄り道して行く事にしました。
 全然方向が違うので「ちょこっとじゃねーだろ」というツッコミはナシで。

 2000年にヴィラノーバ盛岡として創設。2003年からはJリーグをも目指したチームとして活動して来たグルージャ盛岡。途中、関係者が意志の違いからガンジュ岩手に分かれ、一度はどうなる事かと思われたものですが、その後は「いるメンバーで頑張る」と割り切り、精進を重ねて、東北地区では強豪チームの一つとして数えられるようになりました。

 しかし、JFL挑戦のステージでは全国の強豪の前に苦杯を喫することも多く、 年はロッソ熊本に、年は3戦全敗。しかし、去年は静岡FCに大勝する成果もあげ“全国”にたいする恐怖心少し薄れたのかな、と思いました。
 で、迎えた今年のリーグ戦。TDK SCがJFLに昇格し、ライバルのNECトーキンが業績悪化を受けて活動停止(後にクラブチームとして復活)という状況の中で、新たなチームがライバルに名乗りを上げました。

 ユナイテッド福島。

 チーム強化に乗り出し、1998年に志半ばでチーム解散をせざるを得なかった福島FC以来の「福島県から全国区リーグ参戦」目指し、快進撃を続けていました。グルージャとの直接対決はホーム、アウェイともに引き分け。ほかのライバルチームとのたたかいの中で勝ち点を落としたグルージャを横目に福島は首位を走っていましたが、必死に食らいついていたのが後で効く事となりました。
 第13節。決して弱くはない秋田カンピオーレを、今期リーグ戦最多の14-0でやぶりはじめてトップに立ちましたが、それでも勝ち点が同じの得失点差でわずかに2点リードしているだけ。

 そういう緊迫した状況の中迎えたこの試合。
 普段の試合を見ていないので何とも言えませんが、会場の盛岡南運動公園に集まった人は約1300人。試合前には雨もちらほらと降っていましたが、会場の熱気に押されたのか、雨は止んで試合を迎えることとなりました。

2.JFL挑戦かけたたたかい。

 盛岡南運動公園。二面のフィールドスポーツができるグラウンドを持つ運動公園。東と西にグラウンドがあり、その真ん中に両方のグラウンドに向いたメインスタンドがあります。東グラウンドには、さらに反対側にも芝生席があり、寝っ転がっても試合が見られる環境がありました。メインスタンドは95%埋まっていて、さらに芝生席にも多くの家族づれが。北側のスタンドでは熱心なサポーターグループが声援を送っていました。

 そして、試合開始。一点でも多く点をとっていたい盛岡が序盤、ペースをつかみNECゴール前に猛攻を仕掛けます。そして7分にここまで20得点の加藤選手が蹴り込み先制のゴール。その後も中盤で動き回っていた松田選手が2点目、3点目は加藤選手が再び決めました。
 しかし、3点目を奪ったあたりから、流れは徐々にNECに。スリートップで攻めるNECは28分に佐藤幸大選手がミドル地域から蹴り込み1点。さらに終盤間際にも佐藤選手が再びゴールを決め、3-2で前半を折り返します。

 前半終了のあたりはすっかりNECがペースをにぎり、2点目の場面は、寸前にゴール…という場面をオフサイドで逃れていたのに、同じ構図でやられたので「なんだよ!」という雰囲気になりかけていましたが、ロスタイムの頃には苦しい状況を押し返せていた(ように見えた)のが、効く事となります。

 後半17分、エース加藤選手がハットトリックとなる3点目を入れると、鎖を解き放ったライオンのようにチームが躍動しはじめます。
 後半35分にはキャプテン中田洋介選手がリーグ戦初ゴール。さらに後半41分に途中出場の白澤選手がゴールを決めると、そのざわめきをよそに貪欲に攻め込んだグルージャ、1分も経たない内にキャプテンの中田選手がゴールにたたき込み、7-2と大差をつけ試合を終えました。

 そして、しばしの沈黙の後場内アナウンスが告げます。
 「カンピオーレ秋田とユナイテッド福島の試合は6-0で福島の勝利。」
 前半は1-0だったので、福島も後半、逆転めざして必死にたたかったのでしょう。
 しかし得失点差はわずか1点。
 わずかに1点が効いて…中田選手が強引に切り込んで奪った1点が効いて、グルージャの選手が攻め込んだ1点が効いて。

 東北リーグの優勝を…JFLへの挑戦権を手に入れたのでした。

 試合終了間際、やや重かった曇天が晴れ、西側から青空が見え、太陽が出て来ました。
 ひょっとしたら、あれが「いい知らせ」の予兆だったかも知れません。
 もちろん、勝利を手に入れたのは、グルージャに関わった人全ての頑張りのうえであるのは、言うまでもありません。

3.終わった後の光景。

 この試合のリサルトは以下の通りです。

グルージャ盛岡 7-2 NECトーキンFC
◎得点経過
 前半7分 G盛岡 加藤 1-0
 前半15分 G盛岡 松田 2-0
 前半22分 G盛岡 加藤 3-0
 前半28分 NEC 佐藤幸3-1
 前半43分 NEC 佐藤幸3-2

 後半17分 G盛岡 加藤 4-2
 後半35分 G盛岡 中田 5-2
 後半41分 G盛岡 白澤 6-2
 後半42分 G盛岡 中田 7-2

グルージャ盛岡
GK 1 斉藤洋平 13試合 15失点
DF 5 中田洋介 12試合 2得点
   3 金沢崇文 8試合 0得点
   4 石井雄真 13試合 1得点
   19 山本郁弥 14試合 1得点
MF 10 西 洋祐 14試合 6得点
   8 松田賢太 14試合 5得点
   7 上山愛史 12試合 6得点
   14 金子 恵 10試合 4得点
 (→2 大瀧直也 11試合 0得点)
   15 東山裕太 14試合 2得点
 (→6 石川泰樹 10試合 1得点)
FW 13 加藤浩史 14試合 23得点
 (→11 白澤 実 9試合 2得点)


【NECトーキンFC】
GK 22 玉田幸二 11試合 16失点
DF 4 大沢一俊 14試合 0得点
   2 上田大貴 14試合 0得点
   5 長岡祐也 7試合 0得点
   7 鈴木健吾 14試合 0得点
MF 19 佐々和彦 13試合 1得点
   28 寺内雄貴 11試合 4得点
 (→8 鈴木 努 12試合 2得点)
   32 小山大輝 12試合 7得点
FW 11 佐藤幸大 12試合 10得点
   15 濱田 淳 13試合 5得点
   26 小倉浩志 12試合 6得点


 それにしても、壮絶な試合でした。
 スコアこそ開いてしまいましたが、熱戦。
 お互いが自分の力ぶつけ合った結果が、このスコアとなりました。

 試合後の中田選手のインタビュー。
 「自分はグルージャをJFLに上げるために来た。」

 …一年前。横浜FCを戦力外になった後、しばらく中田選手の動向が聞こえなくなったときがありました。一体この後どうするのか。やはり大船渡出身なだけに気にかかりました。

 しばらくたって入って来た情報は「グルージャに入る」。
 Jリーグ経験者が直接グルージャに入る。
 カテゴリで言えば2つ、一気に下がりましたが、JFL・ソニー仙台から復帰した西選手とあわせて、大きい力になったのは間違いないところです。

 今まで3回、東北のリーグ戦は勝ち抜いた。
 だけども、その上にいくたたかいでは成果を残すことができなかった。
 “上”とたたかう困難さ、ゆるくなさというのも味わって来た。
 厳しさを味わって来ました。

 しかし、あきらめなければ、折れなければ道はまだ切り開ける。
 今度のたたかいでどういう姿を見せるか。
 どういう道程を経て、“夢”をつかみに行くか。
 サッカーは専門外ですが、見届けていようと思います。

 試合終了後。
 “おらが選手”たちの勝利を祝おうと。
 ともに分かち合おうとスタンド入り口で残っていたサポーターと選手達。

 この“絆”で新たな道を切り開いてほしい。
 今度こそこのサポーターたちの願いをかなえてほしい。
 同じ思い抱いてたたかいに挑むほかのチーム破るのも簡単ではありませんが、グラウンドに立てる選手には、心置きなく頑張っていただきたいと、そう願います。

 ここまで長文、拙文お読みいただき、ありがとうございました。
 グルージャ盛岡の全国決勝大会での奮闘を願いながら、項を閉じさせていただきます。

 ご意見、ご感想はこちらからどうぞ。

 なお、番外編も作りましたのでぜひご覧いただければと思います。


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