1️⃣ 岩手県の予選は25日までに3週間の週末をかけて行われ、参加20チームから東北に進出する3チーム─トヨタ・JR・駒形が決まりました。先日の記事にも書きましたが、2015年以降、岩手から東北に進出したチームはトヨタ、JR、駒形の3チームで固定されています。それ以前は2014年で活動を終了したフェズント岩手が2013年まで東北に出場。オール江刺が2012年に県優勝。赤崎野球クラブが2010年(他に04、05年県優勝)に出場。それ以前に別のチームが出場したという記録は2006、07年県優勝の赤べこ野球軍団、2003年まで遡って宮城建設と太平洋セメント、2001年のオール不来方まで遡ることになります(JAいわての都市対抗東北進出は99年が最後)。
現行の仕組みでは、参加20チームのうちどこか1チームがベスト4でこの「岩手三強」とぶち当たることになるわけです。その位置にたどり着いたチームがどういう戦いぶりをしてきたかを下図に記します。フェズント岩手が活動終了した翌年の2015年以降を対象にします。
◇2015年
・準決勝 盛友クラブ 2─5 水沢駒形倶
・第3決 盛友クラブ 0─4 JR盛岡
◇2016年
・準決勝 盛友クラブ 0─13 トヨタ自東
・第3決はなし 第2代表はJR盛岡
◇2017年
・準決勝 花巻硬友倶 2─11 トヨタ自東
・第3決はなし 第2代表はJR盛岡
◇2018年
・準決勝 オール江刺 0─10 トヨタ自東
・第3決 オール江刺 7─9 JR盛岡
※JR関口選手の2イニング連続満塁本塁打
◇2019年
・準決勝 オール江刺 0─12 トヨタ自東
・第3決 オール江刺 0─5 水沢駒形倶
◇2020年
・準決勝 MKSIBC 0─18 トヨタ自東
・第3決 MKSIBC 3─7 水沢駒形倶
※同一日の試合
◇2021年
・準決勝 オール江刺 5─7 JR盛岡 延長10回
・第3決 オール江刺 1─10 水沢駒形倶
◇2022年
・準決勝 MKSIBC 2─9 トヨタ自東
・第3決 MKSIBC 1─8 JR盛岡
◇2023年
・準決勝 オール江刺 3─15 JR盛岡
・第3決 オール江刺 3─6 水沢駒形倶
◇2024年
・準決勝 盛友クラブ 0─27 トヨタ自東
・第3決 盛友クラブ 2─15 水沢駒形倶
2️⃣ 2015年から2024年の10大会で
・オール江刺が4度
・盛友クラブが3度
・MKSIBCが2度
・花巻硬友倶が1度
4強に挑む戦いを経験しています。この中で“撃破”に近かったのが2018年のオール江刺。文中に書いた通り関口和磨選手の2イニング連続満塁ホームランという強力な先制パンチを食らいましたが、その後猛追してあと一歩という所まで迫る戦いを見せました。江刺は2021年にも9イニング同点、延長10回のタイブレイクで敗れましたが、時折強烈に食らいつく展開を見せています。
他のチームは…残念ながらそういう戦いに至ることができず、苦杯を喫することが多かったのですが、20数チームで争う岩手県大会でベスト4に残るということは、それだけでもひとつの力量を見せた証でもあります。都市対抗岩手予選は1982年から1988年にかけてベスト4に残った4チームで総当たりのリーグ戦を行い、東北に進出するチームを決めていた時期がありました。それ以降も色々な方式変換はありましたが、本予選の準決勝は「東北に進出できるかどうかをかけた大一番」であるケースが大多数です。
5️⃣ 赤崎野球クの経験として…2001年に初めて準決勝の舞台にたどり着き、この年と2003年は宮城建設に苦杯を喫しましたが、2004年はJAいわて、2005年は水沢駒形とそれぞれ強力なライバルに打ち勝って東北行きを決めた時は「俺たちはやった」という充実感を得ることができました。
今年はそういうしびれる戦いを経験したのは久慈クラブ。遠距離からの遠征で陣容を整えるだけでも大変だったと思いますが、3試合を戦い抜きひとつの足跡を刻めたものと思います。東日本大震災から復帰した直後は都市対抗の参加にも苦労し、私が直接目にした試合は10人しかいなかったような状況も見ました。そこから2010年代後半に若手選手の大量入部でチームを紡いで、上位大会を戦えるようになった。今回は3週間目いっぱい熱い戦いをすることができたことを「お疲れ様でした」と思うし、羨ましくも思います。
こういう「上を目指したい」思いのぶつかる社会人野球最大の大会・都市対抗野球。これからも多くのチームでにぎわえるような環境であり続けたいと思っております。
PS この後の記事制作予定ですが、来週のクラブ野球選手権の間に「2024年から25年前半にかけての社会人野球チーム動向」を制作に。併せて…ここまで書いてきませんでしたが、矢巾硬式クラブが活動終了・解散になりましたので、その記事も書かせていただきます。