大分遅ればせながら、2020年の岩手社会人野球について振り返ります。
元々、東京オリンピックの関係で日程が大幅に変更されていましたが、そこにコロナ感染の影響で中止される大会が多く なりました。他県の遠征にも負荷がかかり、明らかに無茶な体制で試合に臨んだり、クラブカップ東北大会には「二回戦敗退チームの中から選出」する形態をとるなど、例年にない1年を過ごしました。ポイント絞って記述を進めていきましょう。
▽オール江刺 9勝2敗
都市対抗県一回戦、県クラブ優勝、東北会長優勝、県知事優勝、北上大会二回戦。
《個人表彰》
関 勝人 知事最最高殊勲
村岡 康仁 東北会長最高殊勲
宇部 堅人 東北会長特別会長
千葉 哲太 県クラブ最高殊勲
▽JR盛岡 7勝5敗(棄権1)
都市対抗 東北第二代表三回戦、県知事旗棄権、東北会長企業一回戦、岩手アマ王座優勝
《個人表彰》
村上 直人 都市県敢闘
関口 和磨 岩手アマ王座最高殊勲
寺田 翼 岩手アマ王座会長特別
▽トヨタ自動車東日本 6勝5敗
都市対抗東北第二代表二回戦、東北会長企業二回戦、県知事旗一回戦、岩手アマ王座準優勝
《個人表彰》
佐々木麗希 都市県新人、年間新人
古屋 旺星 都市県首位打者
▽水沢駒形倶 5勝5敗
都市対抗東北第二代表一回戦、県クラブ準優勝、県知事一回戦
《個人表彰》
菅原 開 県クラブ敢闘賞
横倉 怜武 県クラブ首位打者
まずはトップ2を占めたオール江刺、JR盛岡。例年はそれぞれトヨタ自動車東日本、水沢駒形といったライバルチームがいて牙城を崩せずにいましたが、共に逆襲を果たす結果に。江刺は都市対抗こそ初戦敗退でしたが、県クラブ選手権、東北会長大会、さらに県知事旗大会と3大会優勝。関、宇部、千葉哲各投手や千葉晴也選手など、頼もしい若手投手が台頭したのがチームに活力を生みました。
JR盛岡はここ数年、都市対抗県決勝でトヨタ自動車東日本に肉薄。今年も都市対抗県予選で惜敗した後、東北予選では一定の存在感を見せ、岩手アマチュア王座決定戦では3本塁打で先行、最後追いつかれたものの関口選手のサヨナラヒットでついにトヨタを破りました。様々な意味で「厚み」の出てきた両者、来年の公式戦が注目です。
一方苦杯を喫したトヨタ、水沢駒形。例年であれば地区連盟主催の大会にいくつか出場する予定だったトヨタは都市対抗県予選が初の県内公式戦に。150キロを出せる投手を複数擁し、都市対抗こそ優勝したものの、知事旗ではオール江刺に、アマ王座ではJR盛岡に敗戦。監督が佐野比呂人さんに変わり、選手も村上、桜庭、佐々木麗、鷹羽各選手など次世代へと継承していく中、厳しい戦いをしました。
水沢駒形はJR九州でも投げた菊地翔太投手がチームに加わり、選手層の分厚さは随一ながら、県クラブ選手権では決勝で惜敗。県知事ではMKSI BCに敗れるなど辛い1年となりました。
ただ両チームとも「転んで臥せっぱなし」ではありません。来年のリベンジに期待です。
▽釜石野球団 5勝2敗
《個人表彰》
▽盛友クラブ 4勝4敗(棄権1)
都市対抗県四回戦、県知事旗棄権、県クラブ4位
▽盛岡球友倶 4勝3敗
都市対抗県四回戦、県クラブ二回戦、北上大会準優勝
▽久慈クラブ 4勝2敗
三陸大会一回戦、県クラブ3位
▽MKSI BC 3勝4敗
都市対抗県4位、県クラブ三回戦、県知事準優勝
▽一関BBC 3勝3敗
▽住田硬式ク 3勝3敗
《個人表彰》
黄川田大雅 三陸大会敢闘
▽遠野クラブ 3勝3敗
都市対抗県三回戦、県クラブ三回戦、、北上大会二回戦
▽一戸桜陵ク 3勝2敗
都市対抗県四回戦、県クラブ三回戦
公式戦開催数が多くなかったため、例年よりは勝敗数に大きな開きはありませんでした。
その中で今シーズン5勝を挙げたもう一つのチームが釜石野球団。今年復活した三陸沿岸クラブ大会では3勝して優勝。勢いに乗って他の大会でも上位を目指したかったのですが、他2大会では1勝に止まりました。盛友クラブは都市対抗で駒形に食らいつき、クラブ選手権では3週間にわたる開催を粘り強く戦い抜き、影響で知事旗を棄権せざるを得ませんでしたが見せ所を作りました。
盛岡球友倶は都市対抗4回戦進出。鈴木治投手が企業チーム相手にも試合をつくる好投を見せました。「次世代」がどう活かしていくのか注目です。
久慈クラブは三陸大会こそ初戦敗退だったものの、県クラブ大会では3位獲得。今春に行われるクラブ野球選手権東北予選の進出を決めました。だいぶ様変わりしたメンバーですが、どう戦うか注目。MKSI BC はシードで登場した都市対抗で東北行きにわずかに届かなかっものの、県知事で駒形に勝ち準優勝。上位大会で戦う方法を模索・確立しながら成長を見せています。
県南部に目を移すと、やはり一番の刮目は住田硬式クラブの伸長。2000年代、2010年代の大方は苦戦を強いられましたが、それでも地元の「野球小僧」に声をかけ、戦い続けてきた結果、三陸大会で赤崎に32年ぶりに勝利し準優勝→都市対抗県予選、県クラブ選手権でも1勝ずつをあげ、はじめて大会表彰選手を出すなど戦線を見せました。一関ベースボールクラブも都市対抗で県3勝をあげ、東北クラブカップに推薦。緒戦で敗れたものの、新投手陣が経験を積みました。
遠野クラブも各大会で一勝ずつ、一戸桜陵クは 都市対抗で2勝、クラブ選手権で1勝あげました。
▽赤崎野球ク 2勝3敗
▽矢巾硬式ク 1勝3敗
都市対抗県三回戦、県クラブ二回戦、北上大会一回戦
▽北上REDS 1勝3敗
都市対抗県一回戦、県クラブ二回戦、北上大会一回戦
▽雫石クラブ 1勝1敗
県クラブ二回戦
▽前沢野球倶 0勝3敗
▽宮古倶楽部 0勝3敗
▽花巻硬友倶 0勝3敗
都市対抗県二回戦、県クラブ一回戦、北上大会一回戦
▽オール不来方 0勝2敗
都市対抗県二回戦、県クラブ一回戦
▽福高クラブ 0勝2敗
都市対抗県二回戦、県クラブ一回戦
▽黒陵クラブ 0勝2敗
県クラブ一回戦、北上大会一回戦
▽盛岡倶楽部 0勝1敗
都市対抗県二回戦
▽高田クラブ 0勝1敗
都市対抗県二回戦
▽富士大学 4勝1敗
北上大会優勝、岩手アマ王座3位
▽盛岡大学 0勝2敗
岩手アマ王座4位
年間0〜2勝のチームについて。
赤崎野球ク。オール江刺に逆転勝ちするなど地力を見せましたが全般的には選手の入れ替わりによる経験と、投手陣のやりくりに苦戦して上位に進出することができませんでした。かつては県もトップクラスの力を誇っていましたが、その頃と環境が変わり、ここ数年は苦戦。なんとか工夫凝らして県内のライバルに挑んでいきたい。腹を据えて挑んでいただくことを願います。
矢巾その赤崎に都市対抗で勝った1勝3敗。北上REDSはクラブ選手権で1勝。雫石クラブはクラブ選手権のみの出場となりましたが、乱打戦を制しました。前沢野球クは、都市対抗、県クラブともに初戦敗退も、ここ数年の取り組みが認められて東北クラブカップに推薦出場。鶴岡野球クラブに敗れましたが、違った光景の野球をした経験が今後につながればと思います。
宮古、花巻は3大会、オール不来方、福高、黒陵クは2大会、盛岡倶楽部と高田は都市対抗のみエントリーしましたが勝ちを経験できずに終わりました。来年も活動を継続するチームは「まず1勝」というとっかかりを得て最伸長を目指して欲しいです。そうやって成長したチームが岩手にはなんぼでもありますから。
最初にもふれた通り、異例のシーズンとなった2020年シーズン。21年もその形式、あるいはコロナ感染の影響も残ったままで野球のシーズンに入ります。別記事で改めて触れますが、盛岡倶楽部が活動休止となりました。近隣でも福島で会津若松、二本松のチームが活動休止。野球を続けるということ自体が簡単でない様子をまざまざと見せつけられていますが、それでも意欲が残っていれば細い糸となっても「硬式ボールを握る場」として存在し、次へつなげて欲しい。文中にも書きましたが、そうして活動したチームが花開く様子も沢山見てますから。
本格的な記述は、岩手県クラブ選手権が開かれる6月頃。合間もなにか記述が出来ればと思っています(無論クラブ選手権東北予選は書く)。2021年シーズンもよろしくお願いします。