※本文中、特に記事部分では敬称を略します。
歓喜の都市対抗東北予選優勝から一ヶ月が経過しいよいよ今日は本大会、対東芝戦です。
トヨタ自動車東日本野球部が優勝した次の日の新聞を買い漁り眺めてました。大谷龍太君にフォーカス当たっているのが多いですが、ほんでも多くの人から見ていただくというのは「一段上」に昇る上では必須のことです。88年以降のスワローズといい、私が身近で見てきた赤崎クにしても然り。長年岩手の社会人野球を見てきた私。当然、トヨタ自動車東日本野球部もこの眼でじっくり見てきました。その視線そのままに7年の歩みを振り返りましょう。
1.2012年創設、初タイトルは場外サヨナラ本塁打で
東日本大震災の翌年、金ヶ崎町に工場を置いていた関東自動車工業が「震災復興」を目的として三鬼賢常監督以下13人で硬式野球部を創設。夏には会社も「トヨタ自動車東日本」と名を変え、8月に行われた岩手県定期戦から公式戦に参加しました。主要大会初参加は9月の日本選手権東北最終予選、一回戦でJR東北に敗れました。
初タイトルは10月に行われた岩手アマ王座決定戦。盛岡大との決勝戦は延長戦に。10回裏に羽田野恭平選手の放った打球はライト場外に達する本塁打でサヨナラ勝ち、初の優勝タイトルを手にしました。
上・初の優勝に挑むナイン。左上・サヨナラ本塁打放った羽田野、右上・大谷龍太は規定によりこの年はコーチ専任、左下・今では見られない阿世知「一塁手」、右下同じくいまでは見られないDHなしの吉橋投手の打撃。
2.2013年本格参戦-日本選手権では本大会に王手かけるも敗退。
2013年は7人が入部、トヨタ自動車から山口嵩之も転入しフル参戦開始。初参加の都市対抗野球岩手予選では一回戦から登場。阿世知が赤崎野球クに4点失うも、打線がその資質を見せ15点奪取。200人集まった社員の前で好スタートを切ると、そのまま快進撃を続け、決勝戦もフェズント岩手に4-0で勝ち初優勝。
上・「ピピッピピッピッ もう一点!」―自然発生的に起きた声援。後に特別賞を受賞した応援団の第一歩。
下・決勝戦、岩手王者をかけたフェズントとの一戦はじわじわと差を広げたトヨタが初優勝に
東北予選では苦杯を喫したが、日本選手権では阿世知、山口の力投で決勝進出。七十七銀行と争われた決勝戦は途中北見昂之の本塁打で逆転。九回裏二死まで追い込んだが、そこから七十七の逆襲を受け、2-3とサヨナラ負けを喫し初全国を逃した。
左上・北見昂之が左中間に逆転2点本塁打。勝機を引き寄せた。
中上・初優勝に向け奮投する阿世知。
右上・しかし、先達の七十七銀行は九回二死から機をつかみ、逆転サヨナラに。
下・あと一歩届かず準優勝。雨中の閉会式に臨むトヨタ自東メンバー
翌2014年はJABA全国大会に出場するようになり、日本選手権予選では再び代表決定戦まで進出したが再び七十七銀行に延長13回サヨナラ負けで全国に届かなかった。尚、2013年末に山口嵩之投手がNPB埼玉西武ライオンズに進出し、16年まで在籍していました。
・この年から捕手に小野勝司が起用される機会が増えました。
3.2015~17年 県外大会初タイトル、前年東北王者撃破など見せ所つくるも上位大会進出に至らず
15年にはシティライト岡山から大島建が加入。シーズンスタートから出だし良く、JABA新潟大会では優勝し県外大会初タイトルはつかんだが主要大会では出場権に絡めず、2016年は教訓にして都市対抗に標準を合わせ、東北予選では前年東北王者になっていたJR東北を延長11回3-2で破ったが、その力を継続的に発揮することができないなど、上位大会に進出するにはクリアしなければならない宿題は山積みだった。
左上・中里優介は左のエースとして実力発揮。16年のJR東北戦では9回を投げきった。
右上・応援団も体制や経験値を増しスタイルを確立。
左下・他県の社会人野球も経験してきた大島がJR戦サヨナラ適時打
右下・他県大会優勝も経験したが、まだ発展途上の姿も見せることが多かった
恵まれた状況に立って力を発揮するのもひとつの手法ですが、トヨタ自東野球部はメンバーの長年の熟達を経て問題を解決していく手法をとりました。それは野球の競技そのものだけでなく、会社内での野球部に対する信頼醸成、という意味でも。
右上・山崎のように数年かけて鍛え上げられた選手の姿も
左下・県大会レベルなら下位打線からでも本塁打が打てる打線を作ってきました。
下2枚・17年限りで退部しましたが、チームの熟練に貢献した向川戸、高橋両選手
4.そして2018年-成就&到達点に
年々、「どこが相手でも気後れはしなくなり、大差もつけられなくなった」様子は見ていましたが、今年はそれにプラスアルファーが。それを垣間見たのは岩手大会決勝戦の対水沢駒形倶戦です。駒形も常に全国を目線に活動しているチームで、東北6強クラスの企業チームでも簡単に大差はつかない強さを持ちます。
が。
結果、1-15。
「なんだこれは…俺が9人ならともかく(←それだと1回終わらない)、水沢駒形だぞ」と驚いた記憶があります。
東北予選。JR秋田に勝つと、より強敵のJR東北に17安打10点で勝利。
そして、6月6日17時46分。
2012年から始まったトヨタ自動車東日本野球部のひとつの到達点となる「東北予選優勝」、そして、都市対抗本大会出場を決めました。
2018年7月17日。その本大会初挑戦は川崎市・東芝。シドニーオリンピック日本代表だった平馬淳さんが監督の古豪のチームです。どんな軌跡を画くか、東京ドームは無理でしたが、近隣のパブリックビューイングでその戦いを見届けます。
補強選手の西村、西川、小島3選手と、「情熱と気迫の応援団」合わせて、頑張ってください。
伊東 勉