MBC野球発信局-袖番号96 伊東勉のページ。

17年9月から移籍。こちらでは社会人野球など野球中心の記述をします。

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2010社会人野球 クラブカップ岩手県予選 -撹拌の予感。

 この記事では、7月31日から行われた東日本クラブカップ岩手県予選に関しての記事を記載させていただきます。なお、記事中の選手名は、敬称略という形にさせていただきます。


・一回戦
 矢巾硬式ク 4-3 一戸桜陵ク
 宮古倶楽部 9-2 北上レッズ ※7回コールド

・二回戦
 矢巾硬式ク 3-1 黒陵クラブ
 住田硬式ク 9-7 オール不来方 ※延長13回
 久慈クラブ 5-4 釜石野球団
 盛友クラブ 3-2 宮古倶楽部 ※延長10回
 福高クラブ 4-3 前沢倶楽部
 花巻硬友倶 9-2 盛岡市立ク ※8回コールド
 遠野クラブ 11-3 九戸クラブ ※7回コールド
 オール江刺 16-0 雫石クラブ ※7回コールド

・準々決勝
 矢巾硬式ク 12-3 住田硬式ク ※7回コールド
 福高クラブ 7-4 久慈クラブ
 盛友クラブ 6-5 花巻硬友倶
 オール江刺 6-5 遠野クラブ ※延長11回

・準決勝
 福高クラブ 9-7 矢巾硬式ク
 オール江刺 19-0 盛友クラブ ※7回コールド

・第三代表決定戦
 矢巾硬式ク 6-3 盛友クラブ

・決勝
 オール江刺 8-1 福高クラブ ※8回コールド

・最優秀選手賞 佐藤幸文投手(江刺)
・敢闘賞 石輪孝幸外野手(福高)
・打撃賞 高橋翔太外野手(江刺)


 この大会には、既に全国大会進出を決めていた駒形と高田は参加資格なし、赤崎は不参加と、上位大会進出常連と呼ばれるチームが参加しない中、参加各チームはスキを突いての上位進出をねらい、二戸地区に集まりました。

 大会初日は一戸、二戸、九戸3球場で一回戦と二回戦10試合が行われました。
この日は近年上位進出を果たしている黒陵や宮古が敗退。久慈も釜石に苦戦するなど今までの力関係を覆そうとする激戦が見られましたが、その中でも一番の「下克上」の試合となったのは、住田と不来方の試合でした。

 毎日新聞に記載されていた部分だけでも大村、木村と2人の新人選手が加わり、住田球場開設記念試合での経験もくわえ、意気上がる住田が初回に3点先制。4回にも1点をあげて一気にリードを奪います。不来方都市対抗ベスト8の意地を見せ、6、7回の攻勢で追いつきますが、延長12回からのタイブレーク、12回こそ2点ずつ分け合いましたが、13回に住田が3点奪うと、その裏の不来方の攻撃は1点に終わり、住田が公式戦数年ぶりの勝利をあげるという形の「下克上」を果たしました。

 矢巾は緒戦で地元一戸を、2つ目の試合では好投手小山中心にまとまりある黒陵を連破しベスト8進出。久慈は終盤の釜石の攻勢をかわし競り勝ち。福高は9回に逆転し前沢をやぶり、花巻は7、8回に集中打。社会人野球33年目の熊谷亨選手の本塁打などで食らいつく盛岡市立を突き放しコールド勝ち。
 地元でいい所見せたかった九戸は見せ所こそ作ったものの遠野に敗退。江刺は3回の10点、5回の5点とビッグイニングを作り雫石を撃破。第一試合で北上レッズを打ち砕いた宮古でしたが、2試合目で盛友の武田投手と激しく競ったものの、延長戦の末サヨナラで敗退しました。
 大会2日目は一戸、二戸両球場で準々決勝と準決勝&代表決定戦が行われ、東北予選に進む2チームが決まります。

 一戸球場での準々決勝は、両試合とも熾烈な試合となりました。
 花巻と盛友の試合は、2回に盛友打線が爆発し一挙5点を奪取。このまま試合が進むかと思われましたが、花巻は5、6回に2点ずつ返し1点差につめ、7回にも1点上げ反撃。しかし、盛友が6回にあげた1点が効き、6-5で盛友が勝ち上がりました。

 第二試合はもっと熾烈な試合に。
 初回に先制した江刺。しかし遠野は7回に一気に5点あげ逆転。試合の流れをもって来た…かに思われましたが、試合そのもののペースまで動かしてしまい、江刺は7、8、9回の攻撃で追いつき、11回裏にサヨナラゲームで逆転勝利をあげましたが、全国に後一歩まで迫ったチーム相手にひるまず互角以上にたたかった遠野のたたかいぶりは見事でした。
 準決勝。盛友は久しぶりの登板になる帷子が先発。4投手の継投でたたかいましたが、初回に2点先制されると、3回に8失点のビッグイニングを食らいました。江刺はさらに5回に2点、7回に7点奪い江刺4投手を攻略。19点をあげ盛友に大勝。一つ目の東北進出枠を獲得しました。

 二戸球場の第一試合では前日番狂わせを起こした住田と矢巾が対戦。矢巾が初回4点、2回7点と速攻を決め序盤にペースを握りました。住田も終盤3点を返しましたが、住田高校出身の伊藤も好投した矢巾がコールドで準決勝に進出しました。

 第二試合は5回までに4-1とリードした久慈を、福高が6、7回の攻撃で計5点加え逆転。福高の先発は今年新卒で加わった東山。6回以降を0に押さえ、社会人初勝利は価値の大きい一勝になりました。久慈は3年ぶり2度目の本大会進出を断たれました。

 準決勝は先の試合の余勢を駆った福高がリードも、中盤以降矢巾も反撃を開始。5回に同点に、7回の攻勢では逆転もしましたが、主戦の在家、大道、今大会では投手として見所作っていた南幅がこらえ切れず、福高が8、9回の攻撃で再逆転。今までチームを支えて来た小坂から連投の東山へとつなぎ、9-7で逃げ切った福高が、25年ぶりに上位大会に進出を決めました。
 大会3日目は一戸球場で2試合。大会決勝戦と第三代表決定戦が行われました。

 決勝戦は…福高が初回に石輪の適時打で先制しましたが、江刺は3回に岩渕祐貴の適時打などで4点をあげ逆転。さらに5回にも3点をあげリードを一気に広げます。
 福高はルーキーの東山の後、ベテランの斉藤幸、大ベテランの玉懸とつなぎ必死に防戦しますが、地力に勝る江刺の前に届かず、最後は8回に1点を奪われ、サヨナラコールドで江刺がこの予選大会初優勝を成し遂げました。

 第三代表決定戦は矢巾と盛友との間で行われました。
 序盤は矢巾の南幅、盛友の坂本と「エースを支える」立場の投手が踏ん張り0-0で進みましたが、矢巾が中盤に一気の攻めを見せ、6回表までで5-0とリードします。
 7回にも1点を失った盛友は、試合途中から2日連投の武田もつぎ込み、創部30数年念願の上位大会初進出を果たすべく反撃し、6回以降3点を返しましたが反撃届かず。矢巾がチーム結成8年目にしてはじめて上位大会進出を決めました。
 では…まとめて。

 優勝した江刺は、今年のたたかいで3度経験した「後一歩」を突き破っての優勝を果たしました。この大会では2年目の三浦投手や若手の左腕今野投手も奮投。遠野との試合では延長11回の厳しい鍔ぜり合いとなりましたが、この試合を制すると他の3試合はコールドで勝ち上がり。最後はベテラン佐藤投手が頑張り、去年の一関大会に続いて2度目の優勝投手になりました。この勢いを維持して、地元開催での「より上を目指すたたかい」に臨みます。

 準優勝した福高は緒戦の前沢戦に競り勝つと、続く久慈戦でルーキーの東山投手の頑張りをもとにクラブ予選ベスト4チームを破り、さらに矢巾にも終盤の逆転劇でひっくりかえし、文字通り地元で「上位大会進出」を決めました。数人入った新卒選手が、チームの刺激になったのは間違いありません。小坂、石輪両選手中心に、チームとしても25年ぶりの上位大会をどうたたかうか、見物です。

 第三代表に入った矢巾硬式クラブは2002年の創部以来、はじめての上位大会進出を果たしました。大道を中心に在家、里館、伊藤、南幅と資質のある投手陣が躍動。初日に2試合競り勝ち、2日目の準決勝こそ福高に終盤逆転食らいましたが、第三代表決定戦で盛友に先手をとり続け、初の上位大会進出を果たしました。未知の領域をどうたたかうか、アイワ岩手時代に都市対抗東北大会をたたかった経験のある選手が引っ張って行きたいところです。

 惜しくも後一歩届かなかった盛友クラブですが、若い選手の躍動感からくる「伸長の予感」がこの大会で発揮しました。緒戦でここ数年成長を見せていた宮古をサヨナラで破ると、次の試合ではクラブ予選では後一歩の差で競り負けた花巻を破り準決勝に進出しましたが、江刺に大差を食らって敗退すると、続く第三代表決定戦でも矢巾に先行許し、念願の東北舞台は踏むことができませんでした。しかし、投手の武田を筆頭に成長の楽しみな選手も多く、今後注意のチームと言えます。

 大会通じて言えたことは、今までの力関係を覆さんとする躍動が目立った、という大会でした。今まで上位大会進出がなかった矢巾や、約20年その争いにからめなかった福高が上位大会進出。数年間勝利のなかった住田が都市対抗ベスト8の不来方に競り勝つなど目に見えて出た成果もありました。

 岩手県のクラブ野球勢力図と言えば、今年上位大会に進出した赤崎、駒形、高田、江刺がリードするという状態が長く続き、ほかのチームはベスト8ぐらいまで…時々間隙を縫って久慈、黒陵、遠野、宮古不来方といったチームが存在感を見せるときがありましたが、それ以上の代表権争いまではからめないという状態が続いて来ました。
 ずっと野球見ていて「機会とキッカケさえつかめれば伸びる」チームも多いだけに、上位進出チームがある程度決まっている状態が、全体の活性化という観点で見ればどうなのかという思いでいましたが、こういう形でより多くのチームに上位進出の機会が巡ってくるのは何よりもうれしい限りです。

 クラブ野球選手権が始まって30ウン年が経ち、この30数年全部全国に続けている、というのはその道だけで1ブロックという北海道をのぞけば、岩手ぐらいではないでしょうか。野球熱の高さが呼ぶ一つの成果として、今年も2チームが全国大会に進出。18日からは、クラブカップ東日本大会進出をかけての東北予選が行われます。クラブカップもこれまでのべ5チームが東日本大会に進出。08年大会では赤崎が優勝を果たしました。今回挑む3チームには何としても続いてほしい、納得行くたたかいをしていただく事を願いまして、この一文閉じさせていただきます。


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