MBC野球発信局-袖番号96 伊東勉のページ。

17年9月から移籍。こちらでは社会人野球など野球中心の記述をします。

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No235 終わりは新しい始まりのスタート 高校野球・閉幕

 早稲田実業のエースの投じた意地の一球が
 駒大苫小牧のエースのスイングを突き破り
 そのボールがキャッチャーミットに収まった時
 この年代の 熱い夏は終わりを告げた。
 その時 自分の心の中にも
 一陣の風が吹いた。
 「今年も夏が終ったな」と。


 延長15回再試合となった早稲田実業駒大苫小牧。結果は4-3。苫小牧の猛追は素晴らしかったのですが、それを上回る早稲田の野球を見せつけて、夏の大会初優勝を成し遂げたのでした。
 勝利のため-だけども、一つ一つのプレーを、心に残るものにしていきたいという選手の思いが、数々の熱戦を生みました。それがどの試合なのかは、皆さんがそれぞれに思う試合があると思います。私も、正直どれかに絞れそうにありません。
 前にも言いましたが、試合に勝つなんて事は、ルールブックの一番最初に書いてある事。そんなもの強調しなくたって、目標に向かって、一生懸命頑張るもの。ましてや高校野球は、多感な時期の3年間を野球にかけてきた、その成果を出す所。手を抜こうなんて思う選手はいないでしょう。

 素晴らしいライバルが、自分をも高める。決勝戦で投げあった2人もそうですが、この取り合わせはたくさんあったはず。何よりも、そうやって、素晴らしいライバルを、乗り越えようという心根でぶつかったからこそ、好勝負が出来たのではないかな、と思うわけです。

 8月20日付の日刊スポーツにスポニチ早稲田実業鹿児島工業の試合終了後、早稲田の選手に対して「激励」をした今吉晃一選手に笑顔で返す斎藤投手はじめ早稲田ナイン。あれなんですよ。たたかいが終わった後、ああいう形で心根通わす事ができるなんて、最高じゃありませんか。普段、写真で心が動くという事のない自分ではありますが、あのシーンには、なんともいえないものがありましたね。

 ただ、その激闘の影、美談の影で選手たちの体には、大きいダメージがあった事でしょう。特に投手の2人。十分なケアを望むとともに、大会後の高校選抜チーム入りは避けてもらいたかった、というのが正直な所です。
 また、立場が上な選手や指導者が、その地位に安住してしまい、立場の弱い選手に暴力を振るう、という事件も何件か見受けられました。野球でもトップレベルの選手を目指すのなら、人間的にもトップレベルの人間を目指してもらいたい。グラウンドから離れたら「ケッ、こんな奴」といわれるような存在というのも寂しいでしょ?こういう負の面にも、目を向けてもらいたいです。それを克服するために。

 何にしろ、3年生はここから新しい人生のスタート。ここからの人生も、自分で道を切り開くだけだぜ。だけども、困った時は仲間に相談するのも手だ。どこかの--が変な事を言っているけど、人間、どこかで何かと関わっていなきゃ生きていけないものさ。頑張ろうぜ。人生という大勝負にさ。

 最後に。早稲田実業の斎藤投手の帽子のひさしの裏には「青春」と書いてあるそうだ。
 その青春時代なるがゆえの苦しみ…このチームも、ここまで来る過程の中ではチーム分裂の危機もあったという。だが、彼らはそれを乗り越えた。だからこそ、この通りの結果を出せた。
 そういう経験というのは、全国どこのチームにもあったでしょう。
 失敗もあるけども、それを乗り越えるパワーもある。そうやって人間は成長するもの。
 それは、甲子園優勝高校も、14年連続初戦敗退の高校も変わりはない。

 こういう「人間成長物語」…今年の大会はひとまず終りました。この物語は、来年も、再来年も続きます。私にできる事は、この「人間成長物語」を、良からぬ目的で使おうとする連中から守る事。彼らに持たせるのは希望と白球であって、無謀と手榴弾ではありません。

 また来年、グラウンドで見せてください。みんなが抱いた、強い思いを乗せたプレーを。
 ありがとよ。高校生スポーツ選手。出来れば、社会人野球で会おう。


※今年の高校野球に関して記載した記事2つです。参考に見ていただけたらと思います。
No231 日本選手権岩手大会/鹿児島工の切り札
No190 5年越しの2点…大農野球部は今年も怯まなかった。


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